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うすいビールを飲み干して鳥たちはまた飛んだ
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たくさんお酒を飲んだら、それに比べたらすこうしだけれど、お水を飲みます。
すると不思議と霞や雲がすうっと引いて、色もはっきり鮮やかに華やいで、
景色がとても綺麗に見えます。

それがもともとのうつくしさなのか、
お水を飲んだからうつくしく見えるのかは解りません。


けれどもこんな景色を見ていたらそんなことはどうでもよくなってしまうのです。

うつくしさだとか、そういうことを考えるのは、名付けたがりの賢い人がすればいいのです。








ゴールデン・ドーンの罪





「よう」

その日で最初の挨拶でした。
スパルヴィエロはくつくつ笑って、ちょっと意外なその相手を迎えました。

「早いな。それとも寝てないのか?」

冗談めかして笑う千仭の顔はなかなかどうして、朝の景色にぴったりです。
なんだか気分が良くなって、スパルヴィエロはおしゃべりに応えました。

「お前さんこそ夜に目ン玉ァ慣れちまったら、じきに昼が眩しくなるぞ」

ちょっぴりびっくりしたような顔。
スパルヴィエロもつられて、ちょっと首を傾げました。
こういうときの先回りは得意じゃありません。
ぴんと来たスパルヴィエロ。肩をすくめて、両手で持ったグラスを掲げて見せました。

「ヌシ殿の酒が無ェんでな」

そのままこくこくとお水を飲み干すと、足の長い椅子を跳び降ります。
目配せした先は、随分早起きな千仭の相棒。
廊下をちらりと通り過ぎただけでも十分判る姿だから、
スパルヴィエロは千仭を見上げて笑いました。
彼が起きたからには、朝ご飯だ出発の準備だと忙しくなるに違いありません。


「お前さんの故郷に好い酒ァあるかい」

ぐうたらのら猫みたいにのびをしながら、問いかけひとつ。

「訊くだけ損にゃならんだろうさ。いつか行けるかも知れねえだろ?」







なあんてね、なんて。
そこで水浴びに行くと行って別れたスパルヴィエロを、千仭が次に見たときは、
いつものようにべろんべろんのよっぱらい。
ちゃんと言葉で質問しても、くすくす笑って的も外れのいまいちな答え。


随分と早い朝だったから、夢でも見ていたのかも。
 




ね、スパルヴィエロ?



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